ご相談の背景
ご依頼者様(B様、C様)は、お父様が亡くなられたことによる相続手続きのご相談で来所されました。相続財産には長崎県内にある土地と建物が含まれており、ご依頼者様はこの不動産の名義変更を行い、早期に売却したいとのご希望でした。
長崎という遠方にあるため、不動産の維持管理や毎年かかる固定資産税が負担となっており、「自分たちが相続財産を取得することにこだわりはなく、とにかく管理の負担から解放されたい」というのが、ご依頼者様の切実な願いでした。
課題:面識のない相続人の存在
今回の相続では、ご依頼者様(B様、C様)の他に、お父様の前妻のお子様であるA様も相続人であることが判明しました。しかし、B様とC様はA様とは全く面識がなく、お名前すらご存じない状況で、連絡を取る手段がありませんでした。不動産の名義変更と売却には、相続人全員の協力が不可欠です。
解決への道のり
- 相続人の特定: まず、戸籍を丹念に調査し、A様のご住所を特定しました。
- 丁寧なコンタクト: A様に対し、突然のご連絡となることをお詫びするとともに、お父様がお亡くなりになったこと、生前にご連絡できなかったことへの陳謝、相続財産の詳細、そして今回の相続に関するご意向をお伺いしたい旨を、心を込めて手紙に記しました。
- 粘り強い交渉: 最初の手紙には残念ながら返信がありませんでしたが、諦めずに再度、ご協力をお願いする手紙をお送りしました。
- 協力の取り付け: 3度目の手紙でようやくA様から返信がありました。ご病気で療養中であること、相続財産は不要であること、手続きには協力するが、知人の手助けが必要なため時間がかかる旨が記されていました。幸いにも、お手伝いされる方の連絡先も記載されていました。
- 手続きの実行: 早速、A様のお手伝いの方と連絡を取り、ご協力いただきながら、不動産の名義をご依頼者様のお一人であるB様へと変更する手続きを無事に完了させることができました。
- 売却の実現: 名義変更後、時間はかかりましたが、無事に不動産の買い手も見つかり、売却が完了しました。
成果
当初の目的であった不動産の売却が実現し、ご依頼者様は長年の懸念であった固定資産税や維持管理の負担から解放されました。面識のない相続人との難しい交渉も、丁寧なコミュニケーションと粘り強い対応によって、円満な解決へと導くことができました。ご依頼者様からは、肩の荷が下りたと安堵のお言葉をいただきました。