【いつ始めるのが正解?】後悔しないための相続対策と相続手続きのスタートタイミング

スタートタイミング

「相続」と聞くと、少し気が重くなったり、「まだ先のこと」と考えたりする方もいらっしゃるかもしれません。しかし、相続は誰にでも関係する大切な問題です。いざという時に慌てないため、そして大切なご家族が困らないためにも、適切なタイミングで準備を始めることが重要になります。

今回は、「相続対策」と「相続手続き」、それぞれの「いつから始めるか」について解説します。

1.生前の「相続対策」はいつから始める?

ご自身の財産を誰にどのように遺したいか、その意思を形にし、将来の相続トラブルを防ぐための準備が「相続対策」です。では、いつから始めるのが良いのでしょうか?

おすすめは「70歳」から

一般的に、70歳頃になると、お子様も成人し、ご自身の生活環境も落ち着いている方が多いでしょう。心身ともに充実しているこの時期に、一度ご自身の財産や家族構成を見つめ直し、相続について考えることをおすすめします。

75歳までには始めたい理由

もちろん、70歳を過ぎてもお元気な方はたくさんいらっしゃいます。しかし、一般的には75歳を過ぎると、判断力や気力が少しずつ低下してくる傾向が見られます。複雑な内容も含む相続対策を、ご自身の意思でしっかりと進めるためには、75歳になる前にはスタートするのが望ましいでしょう。

【要注意!】すぐにでも相続対策を検討すべき方

ただし、以下のようなケースに当てはまる方は、年齢に関わらず、できるだけ早く相続対策を始めることを強くおすすめします。

  • 離婚経験があり、前配偶者との間にお子様がいる方: 相続関係が複雑になる可能性があります。
  • お子様がいないご夫婦: 配偶者だけでなく、ご自身の兄弟姉妹や甥姪も相続人になる可能性があります。
  • ご家族の中に行方不明の方や、連絡を取っていない方がいる場合: 相続手続きがスムーズに進まなくなる可能性があります。
  • 家業を継いでほしい、またはご自身で会社を経営されている方: 事業承継も視野に入れた対策が必要です。

これらのケースでは、早めに専門家へ相談することも有効です。

2.亡くなった後の「相続手続き」はいつから始める?

ご家族が亡くなられた後、遺された財産を引き継ぐための手続きが「相続手続き」です。悲しみの中で大変ですが、手続きには期限があるものもあります。

決まりはありません。ひとつの目安は「四十九日」

決まりはないため、ご家族、ご親族ごとに様々ということになりますが、大切な方を亡くされた直後は、精神的にも時間的にも余裕がないものです。
葬儀が終わっても、7日毎に法要がある地域も多く、少し気持ちが落ち着きを取り戻すのは、一般的に納骨を行う四十九日頃ではないかと思います。他の相続人の方々の心情にも配慮する必要があるため、あまり早くに相続の話を始めることもおすすめできませんが、四十九日は、一つの目安にはなるのではないかと思います。

【重要!】期限のある手続きに注意!

相続手続きの中には、法律で期限が定められているものがあります。特に注意が必要なのは以下の2つです。

  1. 相続放棄・限定承認: 相続財産に借金などのマイナスの財産が多い場合に、相続しないことを選択する手続きです。原則として、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
  2. 相続税の申告・納付: 相続財産の総額が基礎控除額を超える場合に必要となる手続きです。原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に税務署に行う必要があります。

早めにスタートすべきケース

  • 借金などマイナスの財産が多い可能性がある場合: 相続放棄の期限(3ヶ月)を見据えて、早めに財産調査を始める必要があります。
  • 相続財産が多く、相続税がかかりそうな場合: 財産の評価や遺産分割協議に時間がかかることもあります。申告・納付期限(10ヶ月)に間に合わせるためには、早めのスタートが肝心です。
  • 相続人間で意見が分かれそうで、遺産分割が難航しそうな場合: 時間をかけて話し合うためにも、早期に着手することが望ましいでしょう。

ゆっくりスタートしても大丈夫なケース

  • 明らかに借金などのマイナスの財産がない場合
  • 相続財産が基礎控除額以下で、相続税の心配がない場合

上記のようなケースでは、必ずしも急ぐ必要はありません。他の相続人の方々と連絡を取り合い、歩調を合わせながら進めていくと良いでしょう。

ただし、「一周忌」頃にはスタートを!

比較的シンプルなケースでも、あまり長期間放置するのは避けるべきです。時間が経つと、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 相続財産(預貯金口座、不動産など)の状況が変わってしまう。
  • 相続人の誰かが亡くなる、ご病気になるなど、さらに相続関係が複雑になる。
  • 記憶が薄れてしまい、財産の詳細が分からなくなる。

これらの状況は、遺産分割協議や各種手続きをより困難にする可能性があります。そのため、遅くとも一周忌を迎える頃には、具体的な相続手続きに着手することをおすすめします。

まとめ

相続対策も相続手続きも、早めに意識し、ご自身の状況に合わせて適切なタイミングで始めることが大切です。

  • 相続対策: 70歳を目安に、遅くとも75歳までにはスタートを。特定の状況下では、年齢に関わらず早めの検討を。
  • 相続手続き: 四十九日頃を目安に、期限のある手続き(相続放棄、相続税申告)に注意。状況に応じて早めに、遅くとも一周忌までにはスタートを。

「まだ早い」「自分には関係ない」と思わず、一度立ち止まって考えてみませんか?もし、ご自身での判断が難しい、何から手をつければ良いか分からないという場合は、ご相談ください。

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