相続した不動産をどうする?賃貸か売却か・・えっ?持ち続けるダケ?

売却か賃貸か迷っている女性

親から不動産を相続したとき、多くの人がまずぶつかるのが「この家、どうしよう……」という問題です。
「思い出があるから残したい」「でも手間もお金もかかりそう」「売るなんて申し訳ない」――。
感情と現実のはざまで、判断に迷うのは当然のことです。

でも、まずお伝えしたいのはこの一言です。


単に持ち続けるダケはでは・・・。不動産は資産ではなく“負債”になりうる

不動産は、持ち続けるだけでは、固定資産税(地域によっては、都市計画税も)、火災保険料、建物のメンテナンス料がかかり、草刈や空気の入れ替え等の管理の手間がかかるものです。山林等の不動産でかからないものもありますが。
つまり、持っているだけで金銭的負担、時間や手間がかかるため、相続して持っているだけでは負債になります。
多くの場合、持つのであれば、誰かが住むか、賃貸するかすべきであり、どちらもできない場合は、売却を考えるべきなのです。(売却もできず、賃貸もできない不動産もありますので、それは除きます)

この記事をお読みいただくと、不動産を相続したときに、その将来について、どのような決断をすべきか、その判断基準がわかります。


不動産は代々受け継ぐべきもの?

かつての日本では、土地や家は「一家の生活を支えるもの」として代々受け継がれてきました。
「親の土地を手放すなんて」と罪悪感を抱くのも、そうした文化的背景があるからです。

でも、考えてみてください。
多くの方にとって、今や土地は農業や商売の中心でもなくなり、生産・収入の手段としての重要性はなくなっています。
また、郊外の不動産は、売却することも賃貸することもできず、交換価値としては無価値になりつつあります。
そういう世の中では、受け継ぐべきは、不動産に限定されるものではなく、価値ある資産であるべきなのです。
不動産を守ること=家族の価値を守ることではない時代になってきているのです。

思い出があるから売れない?

「この家で育った」「両親が苦労をして建てた家だから」「両親が一生懸命守ってきてくれた土地だから」といった気持ちをもつのは、自然なことです。手放すとやはり、一抹の寂しさや後悔が残るかもしれません。
ただ、一方で、物件には固定資産税、修繕費、草刈りや管理の手間が毎年のようにのしかかりますので、
感情は大切にしながらも、“家計”と“将来”の目線で現実的に判断することも必要です。


そもそも、その不動産は売れるのか?

売却できるかどうかは、いくつかの要素で大きく変わります。

  • 立地(駅からの距離、周辺の生活環境)
  • 建物の築年数や状態(耐震性、老朽化)
  • 再建築が可能か、接道があるかなどの法的な条件

最近は、買い手が不安に感じるポイントを事前に整理・解消しておくことで、売却につながりやすくなっています。
特に測量や解体の準備をしておくと、買い手の判断も早くなります。


不動産は本当に資産? 価値が下がっていく時代に入っています

今は、空き家の増加や人口減少の影響で、「所有しているだけで損する」不動産も珍しくありません。

  • 地方の地価は年々下がり続ける
  • 空き家率は年々上昇し、2040年には全国の3戸に1戸が空き家予備軍と予測されている
  • 修繕費や管理費は上昇中。外壁や屋根の補修だけで500万円〜1,000万円かかることも

すべての不動産が「財産」だった時代は終わりつつあります。
相続された不動産が、いつまで価値を維持し続けるのかについては、真剣に考えておくべきでしょう。


売らないことが「守る」こと?

“親が大切にしてきた家を守りたい”――その気持ちは自然なものです。
しかし、ご両親が守って欲しかったのは、その土地、その家でしょうか
土地、家が価値を持っていた時代だったらそうかもしれませんが、価値を持たなくなった場合、そうは言えないのではないでしょうか。
「家族を支えていくだけの価値があるもの」を残すことが重要であり、その土地、建物ではないと思います。


賃貸という選択肢もあるが、それは「経営」です

「売りたくないから、とりあえず貸そうかな……」という気持ち、よく聞きます。
でもここで注意してほしいのは、賃貸は“経営”であり、投資だということ。

賃貸経営には、こんな要素が関わってきます。

  • 空室リスク(入居者が決まらない月は収入ゼロ)
  • 家賃下落(周辺環境や築年数に影響)
  • 修繕費やリフォーム費(1室あたり100万円以上かかることも)
  • 管理会社との契約、入居者対応、退去時のトラブル対応 など

知識と覚悟がないまま始めると、かえって損失が増えるリスクもあります。

賃貸は、投資。投資に対する利回りを計算してみよう

不動産を賃貸するということは、不動産から利益を生ませるため、投資をするということです。
投資をする上で、この投資が正しい投資なのかを判断する材料が「利回り」です。

たとえば――

  • 物件価格:1,800万円
  • 修繕費:600万円(賃貸を開始するために必要な修繕費)
  • 年間家賃収入:180万円
  • 空室率:10% → 実質収入:162万円
  • 経費(固定資産税・保険・管理費・退去時リフォーム費):12万円(年額計算)

👉 実質利回り=(162万円−12万円)÷(1800万円+600万円)=年5.0%の利回り

 一般的には、株式等の投資であれば、年4%の利回りを期待できるといわれています。そこで、年4%を下回るようであれば、投資としては厳しい水準と考えられます。
 4%を下回る場合は、修繕費の削減や賃料設定の見直しが必要です。


最後に:不動産ではなく、“価値”を残すことを考えよう

これからの時代、守るべきは「家」そのものではなく、「家族の未来に役立つ“価値”」です。

「不動産をどうするか」は、「家族の未来をどうデザインするか」と同義。
感情と向き合いながら、数字で冷静に判断していくことが、後悔しない選択につながります。

当社は、 「不動産を相続をした後のこと」も含め、アドバイスやガイドをしております。
お気軽にご相談ください。

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