【要注意】不動産相続で起こる現実-負担増。詐欺のターゲットに。

不動産を狙っている人

「親から実家を相続した」「思いがけず土地を引き継ぐことになった」…不動産を相続すると、資産が増えたように感じ、少し嬉しい気持ちになるかもしれません。

しかし、結論から言うと、不動産相続は良いことばかりではありません。予期せぬ金銭的負担や手間が発生し、さらに悪質な業者のターゲットにされるリスクも潜んでいます。

この記事では、不動産を相続した後に具体的にどのようなことが起こるのか、そしてそれにどう備えるべきかをお伝えします。相続後に慌てたり、不利益を被ったりしないためにも、ぜひ最後までお読みください。

1. 予期せぬ「お金」と「手間」の負担が発生する

不動産を所有するということは、それだけで継続的なコストと手間がかかるということです。相続によって、これまで無関係だったこれらの負担が突然あなたの肩にのしかかってきます。

  • 固定資産税の支払い義務: 不動産を持っている限り、毎年「固定資産税」と「都市計画税(対象地域のみ)」が課税されます。たとえ誰も住んでいない空き家であっても、支払い義務はなくなりません。もし、亡くなった方が税金を滞納していた場合は、相続人がその滞納分も支払う必要があります。
  • 火災保険料の負担: 大切な資産を守るために、火災保険への加入は必須と言えます。特に建物がある場合は、万が一の火災や自然災害に備える必要があります。当然、保険料は所有者の負担となります。
  • 建物の維持管理費と手間: 建物は時間とともに劣化します。雨漏りの修繕、外壁の塗り替え、給湯器の交換など、定期的なメンテナンスが必要です。また、庭があれば草刈りなど、日常的な手入れも欠かせません。放置していると、近隣住民から「草が伸びて迷惑だ」「管理はどうなっているんだ」といったクレームや要請が来ることもあります。
  • 解体のジレンマ: 維持管理が大変だからといって、安易に建物を解体するのも考えものです。建物が建っている土地は、固定資産税の軽減措置が適用されている場合があります。建物を解体して更地にしてしまうと、この軽減措置がなくなり、土地の固定資産税が大幅に(最大で6倍に)跳ね上がる可能性があるのです。
  • 賃貸経営の苦労:賃貸物件を相続で取得した場合、空室が出た、修繕が必要、クレームが入った、家賃の滞納がでた等、問題解決のための判断や対応を迫られることになります。賃貸物件には管理会社が入っていますが、管理会社任せでは、経営はなかなかうまくいきません。

このように、不動産を相続すると、予想以上の金銭的負担と管理の手間が発生することを覚悟しておく必要があります。

2. あなたの情報は筒抜け?止まらないDM、営業電話、訪問営業

不動産を相続して、相続登記(不動産の名義変更)を行うと、驚くほど多くの営業電話やダイレクトメール(DM)、さらには突然の訪問営業が来るようになります。

「なぜ私の連絡先を知っているの?」と不審に思うかもしれませんが、これには理由があります。

不動産の所有者情報(住所、氏名)は、法務局で管理されている「登記簿(登記記録)」に記載されており、この情報は手数料を払えば誰でも閲覧・取得できる公開情報なのです。

相続によって所有者が変わると、その情報は更新されます。不動産業者や名簿業者は、この公開情報を定期的にチェックし、「最近不動産を相続した人」のリストを作成します。そして、そのリストを様々な業者が購入し、営業活動に利用するのです。

具体的には、以下のような営業が考えられます。

  • 不動産売買・買取の勧誘: 「その不動産、売りませんか?」「当社が高く買い取ります」「売れずにお困りではありませんか?」
  • リースバックの提案: 不動産を業者が買い取り、その後は賃料を払って住み続けるという「リースバック」の提案。
  • リフォーム・修繕の勧誘: 「屋根の無料点検はいかがですか?」「外壁塗装でお家をきれいにしませんか?」

これらの営業は、一度話を聞いてしまうと、「検討していただけましたか?」などと、何度も連絡が来るようになることが多いです。断るのが苦手な方にとっては、大きなストレスになるでしょう。

3. 要注意!「困っている」状況を狙う悪質業者と救済詐欺

最も注意しなければならないのが、営業を装った詐欺や、相続人の「困っている」状況につけ込む悪質な業者の存在です。

相続した不動産の扱いに困っている、管理が負担だと感じている…そうした状況は、残念ながら悪質業者にとって格好のターゲットとなります。彼らは親切を装って近づき、巧みな話術で金銭をだまし取ろうとします。

以下のような手口には、特に注意が必要です。

  • 調査費詐欺: 「その売れない不動産、当社が売却をお手伝いします。まずは調査が必要なので、調査費用を払ってください。」と言って、実際には何もせずに調査費だけを請求する。
  • 手数料詐欺: 「有利な条件でリースバックできる業者を紹介します。紹介手数料をいただきます。」と言って、高額な手数料を請求したり、不利な契約を結ばせたりする。
  • リフォーム詐欺:修繕の必要ないものをあたかも故障があるかのように伝えて誤信させ、修繕する契約を結ばせる、または、不当に高額な修繕契約を結ばせたりする。
  • 別契約詐欺:「その売れない土地を当社を購入します。ただし、代わりにこちらの土地を購入してください。お支払いは差額で結構です。」などと、別の価値のない土地を高額で売りつける等の別契約を結ばせる。

覚えておいてください。あなたが不動産の相続で困っていると感じているなら、その困りごとを解決する手段を探しているはずです。そういう時に「あなたの困りごとを解決する」と言われると、ついつい話を聞きたくなるでしょう。それが詐欺師のターゲットになるのです。「助けてあげるよ」という甘い言葉で近づいてくる話(救済話)には、必ず裏があると考え、警戒することが重要です。

まとめ:不動産相続は「他人事」ではない!早めの対策と相談を

不動産相続は、単に資産を引き継ぐというだけでなく、それに伴う責任や負担、そしてリスクも同時に引き継ぐということです。

固定資産税や維持管理費といった継続的なコスト、手間のかかる管理、そして悪質業者からの勧誘や詐欺のリスク…。これらは、不動産を相続した人なら誰にでも起こりうることです。

相続が発生したら、まずはその不動産の状況(立地、状態、価値など)を正確に把握し、今後どうするのか(自分で使う、売却する、賃貸に出す、誰かに譲るなど)を早めに検討し始めることが大切です。

もし、どうすれば良いか分からない、手続きが不安、悪質な勧誘を受けて困っているといった場合は、一人で悩まずに、当社をはじめ信頼できる専門家に相談することをおすすめします。

不動産相続は、決して他人事ではありません。この記事でご紹介した内容を参考に、しっかりと備えていただければ幸いです。

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