【注意】金を相続したぞ!いや、意外と大変なんです。

金の相続は大変

「おじいちゃんが遺してくれた金が出てきた!」「親から金の延べ棒を相続した!」

金の相場が高騰している昨今ですので、「ラッキーだな!」と思うかもしれません。確かに、価値ある資産である金を受け継ぐことは喜ばしいことです。しかし、実際に金を相続すると、「意外と大変…」と感じる場面に直面することが少なくありません。

今回は、金の相続で多くの人が直面する「困りごと」について解説します。

困りごと①:物理的な「重さ」と「保管場所」

まず立ちはだかるのが、物理的な問題です。

  • 持ち運びが大変! 金は非常に重い金属です。例えば、一般的な金の延べ棒(ラージバー)は約12.5kgもあります。ちょっとしたダンベル並みの重さです。少量ならまだしも、ある程度の量を相続した場合、その持ち運びだけでも一苦労。車での運搬も、セキュリティ面で不安がつきまといます。
  • 保管場所に困る… 無事に持ち帰ったとしても、次に悩むのが保管場所です。「とりあえず自宅に…」と考えがちですが、高価な貴金属である金を自宅に保管するのは、盗難のリスクが非常に高まります。かといって、銀行の貸金庫を利用するとなると、当然ながら利用料がかかりますし、空き状況によってはすぐに利用できない可能性もあります。

せっかく相続した大切な資産ですから、安全に保管したいものですが、その方法に頭を悩ませることになります。

困りごと②:売却手続きのハードル

「使わないし、現金化しよう」と考えたとき、次のハードルが現れます。金の売却は、意外と簡単ではありません。特に相続した金の場合は、手続きが通常より厳格になることがあります。

  • 相続人による売却手続きの厳格さ 金を買い取る業者は、古物営業法や犯罪収益移転防止法に基づき、売却者の本人確認を厳格に行います。相続した金を売却する場合、通常の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)に加えて、「なぜあなたがこの金を売却する権利があるのか」を証明する書類の提出を求められることがあります。 例えば、遺産分割協議書や戸籍謄本など、相続関係を証明する書類が必要になるケースです。どのような書類が必要かは買取業者によって異なるため、事前に確認が必要です。
  • 「相場通り」に売るのは難しい – 手数料と買取基準の壁 金の価格は、株式などと同じように日々変動しています。「できるだけ高く売りたい」と思うのは当然ですが、常に価格をチェックし、ベストなタイミングで売却するのは至難の業です。 また、買取業者によって提示される買取価格は異なります。
  • **「手数料無料」「国際的な公設市場価格(相場)で買取」**を謳う大手の地金商や貴金属メーカーも存在します。一見すると、こうした業者に売却するのが最も有利に思えるかもしれません。 しかし、注意が必要です。このような大手業者の中には、自社で販売した金地金や、特定の刻印があるものしか買い取らないという規定を設けている場合があります。
  • つまり、購入元が不明な金や、無名のブランド、刻印が不鮮明な金などは、たとえ純金であっても買取を断られてしまう可能性があるのです。相続した金の場合、どこで購入されたものか分からなかったり、古いもので刻印がなかったりすることも少なくありません。 結局のところ、「手数料無料」や「相場価格」という言葉だけで判断せず、自分の持っている金がその業者の買取基準に合致するかどうか、事前にしっかりと確認する必要があります。複数の業者に問い合わせて、条件(価格、手数料の有無、必要書類、買取可能かどうか)を比較検討する手間は、多くの場合避けられないでしょう。

困りごと③:税金の計算が複雑…購入価格が不明な場合

無事に金を売却できたとしても、それで終わりではありません。売却によって利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して税金がかかります。ここで多くの人が頭を悩ませるのが、**「購入価格がわからない」**という問題です。

  • 譲渡所得の計算方法 譲渡所得は、基本的に以下の計算式で算出されます。 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用) 「取得費」とは、その金を購入したときの価格のことです。しかし、相続した金の場合、亡くなった方(被相続人)がいつ、いくらで購入したのかを示す書類(購入時の伝票など)が残っていないケースが非常に多いのです。
  • 購入価格不明の場合(みなし取得費) 購入価格がどうしてもわからない場合、税法上、売却価格の5%相当額を「取得費」とみなして計算するルール(みなし取得費)があります。 例えば、100万円で売却した金の購入価格が不明な場合、取得費は5万円(100万円 × 5%)として計算されます。 100万円(売却価格) - 5万円(みなし取得費) - 譲渡費用 = 譲渡所得 本来の購入価格がもっと高かったとしても、証明できなければこの計算方法となり、結果的に譲渡所得が大きくなり、税負担が増えてしまう可能性があります。
  • 保有期間による税率の違い さらに、その金を被相続人が取得してから売却するまでの保有期間が5年以内か、5年を超えるかによって、税金の計算方法(短期譲渡所得か長期譲渡所得か)が変わってきます。これも正確な取得日がわからないと判断が難しくなります。

まとめ:金の相続は計画的に!

金の相続は、一見すると非常に幸運な出来事に思えますが、実際には持ち運びや保管の物理的な問題、売却手続きの煩雑さ(買取基準の確認含む)、そして複雑な税金計算といった、見過ごせない「大変さ」が伴います。

もし金を相続することになったら、まずは慌てずに、これらの点を理解しておくことが重要です。売却を検討する際は、複数の買取業者に条件を確認し、税金については税理士などの専門家に相談するなど、最適な対応方法を検討することをおすすめします。

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