入院中でも諦めないで!入院中の遺言書の作成について。

一般的に遺言書を作成するのは、高齢になってからのことが多いのですが、それゆえに、遺言書の作成に至らない状態で、体調が悪化し、入院を余儀なくされることもあります。

「入院してしまったら、もう遺言書なんて作れないのでは…?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、諦めるのはまだ早いです。実は、入院後であっても、ご本人の意思がはっきりしていれば遺言書を作成することは可能なのです。

今回は、入院中に遺言書を作成する場合の方法や注意点についてお伝えします。

遺言書の種類と作成のポイント

遺言書にはいくつかの種類がありますが、代表的なものに「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。

  • 自筆証書遺言: ご自身で全文、日付、氏名を書き、押印する遺言書です。手軽に作成できる一方、入院中の場合、体調によっては字を書くことが難しいという問題があります。手が震えてしまったり、ペンを握る力が弱まっていたりすると、作成は困難になります。
  • 公正証書遺言: 公証役場の公証人が作成に関与する遺言書です。法律の専門家が関わるため、最も確実で安心な方法と言えます。そして、入院されている方にとって大きなメリットとなるのが、必ずしもご自身で字を書く必要がないという点です。
    • 話すことができれば作成可能: ご本人が遺言の内容を公証人に口頭で伝えられれば、公証人がそれを文書にまとめてくれます。
    • 話すことが難しい場合も: 声が出せない、あるいは会話が難しい状態であっても、文字盤を指さしたり、筆談などでご自身の意思を明確に伝えることができれば、作成が可能な場合があります。諦めずに、まずは意思表示ができるかどうかを確認することが大切です。

入院中の遺言書作成は専門家への依頼がおすすめ

入院中は、ご自身で公証役場に出向いたり、公証人と直接やり取りしたりするのは難しい場合がほとんどです。そんな時に頼りになるのが、司法書士などの専門家です。

  • 司法書士が病院へ出張: 司法書士に依頼すれば、病院のベッドサイドまで出張してもらい、遺言の内容についてじっくりと打ち合わせをすることができます。ご本人の意思を丁寧に聞き取り、法的に有効な遺言書を作成するためのアドバイスやサポートを行います。
  • 公証人との連携もスムーズに: 司法書士は、公証人との連絡や日程調整なども代行してくれます。公証人も病院への出張が可能ですので、司法書士に依頼することで、入院中の遺言書作成がスムーズに進みます。

面会制限がある病院でも相談を

近年、感染症対策などで病院の面会が制限されているケースがあります。「面会ができないなら、司法書士や公証人も呼べないのでは?」と心配されるかもしれません。

しかし、遺言書の作成はご本人の最終意思を実現するための非常に重要な手続きです。病院側に事情をきちんと説明すれば、特例として司法書士や公証人の面会を許可してもらえる可能性があります。まずは、入院先の病院のソーシャルワーカーや看護師長さんなどに相談してみましょう。

まとめ

入院という状況にあっても、遺言書の作成を諦める必要はありません。

  • 公正証書遺言であれば、字が書けなくても、話せなくても、意思疎通ができれば作成可能です。
  • 司法書士に依頼すれば、病院への出張相談から公証人の手配まで、スムーズに進めてくれます。
  • 面会制限があっても、病院に相談してみましょう。

ご自身の最後の意思を、大切なご家族へ確実に伝えるために。もし入院中に遺言書の作成をお考えになったら、まずはお気軽にご相談ください。あなたの想いを形にするお手伝いができるはずです。

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