そんな時はすぐ弁護士へ!迷わず遺産分割を弁護士に依頼すべき場合

弁護士に依頼する

相続のご相談の中で、弁護士に依頼すべきかを迷うケースも多くあります。しかし、はっきり、弁護士に依頼しないと解決が難しい、また、依頼する方が良い解決になるこというケースもあるのです。
この記事を読めば、あなたが弁護士に依頼すべきかどうかの具体的な判断基準が分かり、後悔しないための道しるべとなるはずです。

【大前提】全ての遺産分割を弁護士に依頼した方が良いわけではない

まず、大前提としてご理解いただきたいのは、全ての遺産分割で弁護士が必要なわけではないということです。

むしろ、安易に弁護士に依頼することで、状況が悪化するケースも少なくありません。弁護士を立てるということは、相手方に対して「争う」という明確な意思表示と受け取られがちです。その結果、これまで話し合いの余地があった関係性でも、一気に相続争いが確定的になり、感情的な対立が深まってしまうことがあります。

一度こじれた関係は、遺産分割が終わった後も修復が難しく、家族の絆が失われてしまうことも。弁護士に依頼するということは、そういった可能性も踏まえた上で、覚悟を持って決断する最終手段なのです。

それでも弁護士に依頼した方が良いケースとは?

では、どのような場合に弁護士への依頼を検討すべきなのでしょうか。具体的なケースを見ていきましょう。

1.相手方が弁護士を立ててきた

これは最も分かりやすいケースです。相手方が弁護士を代理人として交渉に臨んできた場合、こちらも法律の専門家を立てなければ、交渉のテーブルで圧倒的に不利になります。法律知識や交渉術において、一般の方が弁護士と対等に渡り合うのは極めて困難です。相手方の弁護士からの書面や連絡に対して、適切かつ戦略的に対応するためにも、弁護士への依頼は必須と言えるでしょう。

2.相手方とまともな話し合いができない

相続人同士で遺産分割協議を行うのが原則ですが、以下のような状況では、当事者間での解決は難しいかもしれません。

  • 感情的になってしまい、冷静な話し合いができない。
  • 相手が全く話を聞いてくれず、一方的な主張を繰り返すばかり。
  • 話し合いをしようとしても、すぐに喧嘩腰になってしまう。
  • そもそも相手が話し合いに応じてくれない。

このような場合、争いを避けるためや、相手方が強引で「怖い」という感情から、こちらの主張を押し殺し、望まない妥協した内容での遺産分割が出来上がることもあります。それは、家族間に後々残るしこりとなりますので、良い解決ではありませんので、それは、避けるべきです。
そこで、ご自身で家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることも一つの方法です。しかし、調停手続きをご自身で進めることに不安を感じたり、やはり相手との直接のやり取りが精神的に難しいと感じる場合は、弁護士に代理人として間に入ってもらうことを検討しましょう。弁護士が介入することで、感情的な対立を避け、法的な論点に絞った冷静な話し合いが期待できます。

3.精神的に追い詰められている

相続問題は、ただでさえ精神的な負担が大きいものです。特に、親族間の争いは、心身ともに疲弊してしまう方が少なくありません。

  • 相手方とのやり取りで精神的に大きなダメージを受け、これ以上直接話をするのが辛い。
  • 相続のことを考えるだけで気分が重くなり、日常生活に支障が出ている。

このような状態では、適切な判断を下すことも難しくなります。無理にご自身で抱え込まず、弁護士に法的な手続きや交渉を任せることで、相続を自分の手から離し、精神的な負担を軽減し、少しでも心の平穏を取り戻すことが大切です。

4.財産関係が複雑で、どう分ければ良いのか分からない

相続財産が預貯金や不動産だけといったシンプルなケースばかりではありません。以下のような複雑な財産が含まれる場合、一般の方がご自身で財産評価や分割方法を検討するのは非常に困難です。

  • 賃貸している不動産(家賃収入の扱いや、今後の管理など)
  • 相続人の誰かが住んでいる不動産(評価方法や、代償金の支払いなど)
  • 第三者と権利関係で揉めている不動産
  • 亡くなった方が会社を経営しており、その会社の株式(非公開株式の評価など)
  • 多数の借金や保証債務がある

これらの財産を法的に正しく評価し、公平な分割案を作成するには、専門的な知識と経験が不可欠です。ご自身で遺産分割調停を申し立てることも選択肢の一つですが、そもそも財産の内容を正確に把握し、申立書を作成するだけでも大変な労力を要する場合があります。

このような場合、まずは弁護士に相談し、法的な整理や評価についてアドバイスを受けることをお勧めします。

【補足】専門家への依頼の形は一つではない

もし、相続人全員の関係が円満で、費用負担についても合意できるのであれば、相続人全員の代理人として一人の専門家に依頼し、中立的な立場で遺産分割協議書の作成などをサポートしてもらうという方法も考えられます。

しかし、話し合いを進める中で、やはり相続人間の意見がまとまらなかったり、利害が対立してしまったりする場合には、それぞれの相続人が個別に弁護士に依頼し、代理人として交渉を進めていく必要が出てくるでしょう。

まとめ

遺産分割で弁護士に依頼するかどうかは、あなたの状況や抱えている問題によって大きく変わります。安易な依頼は避け、まずはご自身の状況を冷静に分析することが大切です。

そして、「相手が弁護士を立ててきた」「話し合いが全く進まない」「精神的に限界だ」「財産が複雑すぎる」といった場合には、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。まずは専門家の意見を聞き、その上で最善の道を選択してください。

この記事が、あなたの遺産分割問題解決の一助となれば幸いです。

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