相続対策が嫌だというのは、当然のことです。自分の「死」という人生のネガティブな部分に目を向けることにもなりますし、どれだけ考えても正解が分からない難しい問題へ取り組むことにもなるので、喜んで取り組みたいということにはなりにくいと思います。
しかし、あなたが相続対策をしたか、していないか。それ次第で、あなたの家族は、未来が大きく変わることになります。
相続対策の重要性は理解していても、どこか他人事だったり、面倒だと感じて後回しにしている方へ。
この記事を読むことで、相続対策をしないことが、どれだけ愛する家族を苦しめる可能性があるのか、そして、今すぐ対策を始めることが、どれだけ重要で、家族への最後の愛情表現となり得るのかを、深く理解することができます。
相続対策が嫌なあなたへ。想像してみてください、あなたの亡き後の家族の姿を
「こんなドラマみたいなことが起こるなんて…」 「相続なんてなければ、家族はバラバラにならなかったかもしれない…」 「相続のことを考えると、夜も眠れません…」
相続の現場に立ち会う中で、このような悲痛な言葉を、私は幾度となく耳にしてきました。笑顔で円満に解決する相続ばかりではありません。むしろ、相続をきっかけに家族全員が心身ともに疲弊し、解決の糸口が見えない問題に直面し、絶望の淵に立たされているケースは少なくないのです。
あなたは、ご自身の家族がそんな状況に陥っている姿を、想像できるでしょうか?
「自分がいないのだから、どうなっても良い」は本当か?
「自分が死んだ後のことなんて、どうでもいいよ」 「遺産なんて、残された者たちで好きに分けたらいいじゃないか」
こういった言葉も、残念ながらよく聞かれます。ご本人は、ある種の達観した気持ちや、残される家族への信頼から、そうおっしゃるのかもしれません。
しかし、私はそういう方に、あえてこう問いかけるようにしています。
「あなたが亡くなった後、あなたの遺した財産を前に、家族が途方に暮れ、言い争い、心身ともに疲れ果てている姿を、具体的に想像してみてください。」
この問いかけで、愛する家族が苦しむ具体的な姿を想像できた方は、「自分が死んだ後のことなんてどうでもよい」とは、思えなくなっているのではないでしょうか。
あなたを支え、あなたが守ってきた家族の未来
あなたは、これまで誰に支えられて生きてきましたか?多くの場合、それはあなたの家族ではないでしょうか。その存在があったからこそ、あなたは仕事に打ち込み、人生を豊かにすることができたはずです。
家族に支えられてきた、あなたは、その大切な家族を守るため、家族が幸せに存続していくために、より良い関係を築くために、これまで不断の努力を重ねられてきたのではないでしょうか。
それなのに、あなたがこの世を去り、もう何も手を下すことができなくなった後で、あなたが築き、守ってきたはずの家族が、あなたの遺したものを原因として、壊れていくとしたら…?それは、あなたが本当に望む未来でしょうか。
相続争いは「欲張り」だから起こるのではない
「相続で揉めるなんて、相続人が欲張りだからでしょう?」と相続でもめる原因が相続人自身の欲にあり、自己責任だと思われているかもしれません。
しかし、財産を少しでも多く欲しいという気持ちは人間なら誰しもが持つ自然な感情であり、それぞれの欲がぶつかる遺産分割の場は、争いの原因になって当然なのです。そして、相続財産が、今後の生活を支える上で重要な意味を持つこともありますから、それを求めること自体が悪いわけではありません。
ただ、それだけではありません、相続争いの根源は、単なる金銭欲だけではないのです。
- 過去への評価: 財産の分け方によって、「自分は親にどう思われていたのか」「兄弟姉妹の中で、自分はどんな存在だったのか」「どれだけ、家族に貢献してきたか」という、過去の関係性への評価が問われることがあります。
- 親子関係の清算: 生前の親子関係におけるわだかまりや不満が、相続を機に噴出することがあります。
- 価値観の衝突: 財産に対する考え方、人生における価値観、金銭に対する価値観の違いが、遺産分割の方針を巡って対立を生むことがあります。
このように、相続は、お金の問題だけでなく、個人のアイデンティティや、家族間の歴史、感情といった、根深い問題と結びついているからこそ、難しいのです。決して、「相続人たちがワガママだから」「私利私欲に走るから」と、相続人だけの責任にして片付けてはいけない問題なのです。
だからこそ、相続人同士の話し合いだけで円満に解決することが、いかに難しいか、という認識を持つべきです。
あなたにしかできないこと
あなたが相続対策をする。 たったそれだけで、避けられる争いがあります。 たったそれだけで、防げる家族の崩壊があります。
あなたが人生をかけて守ってきたもの、そして、あなたを支え続けてくれた大切な家族を、あなたがこの世を去った後も守り続けることができるのは、他の誰でもありません。生きている間に、あなたが適切な相続対策をすること、ただそれだけなのです。
相続対策は、時として、ご自身の死や、家族間の隠れた問題など、考えたくないこと、目を背けたくなることと向き合う作業になるかもしれません。そのため、取り組むことに心理的な抵抗を感じる方が多いのも事実です。
でも、考えてみてください。その抵抗感や面倒くささと、あなたの亡き後に家族が味わうかもしれない苦しみや悲しみを天秤にかけてみてください。
あなたしか、できないのです。 あなたがやるか、やらないか。 その選択だけで、あなたの愛する家族の未来は、全く違うものになるのです。
まずは、専門家に相談してみることから始めてみませんか? あなたの小さな一歩が、家族の未来を守る大きな力になります。