「いきなり弁護士」が絶対NGな5つの理由

弁護士に依頼するか迷っている人

相続が発生し、遺産分割協議を始めようとしたとき、「他の相続人ともめそうだ…」「話し合いが難航しそう…」と感じると、すぐに弁護士に相談・依頼することを考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、相続でいきなり弁護士に依頼することは、多くの場合「悪手」 となり、かえって問題をこじらせてしまう可能性があります。

この記事では、なぜ相続において「いきなり弁護士」がNGなのか、その具体的な理由を詳しく解説します。

理由1:弁護士がいなくても解決できるケースが多い

相続手続きと聞くと、専門家である弁護士が必要不可欠だと考えがちですが、実は弁護士がいなくても円満に解決できる相続の方が圧倒的に多いのです。

日本の法律では、相続人の範囲とそれぞれの取り分(法定相続分)が明確に定められています。遺言書がない場合、基本的にはこの法定相続分に基づいて遺産を分けることになります。

もちろん、相続人同士の関係性や特別な事情(寄与分や特別受益など)で話し合いが必要になるケースもありますが、多くの場合は、相続人同士の話し合いによって、法定相続分に基づいた合意形成が可能です。

理由2:高額な弁護士費用がかかる

弁護士に相続案件を依頼すると、決して安くない費用が発生します。一般的に、着手金に加えて、成功報酬として実際に取得できた遺産の10%以上がかかることが多いと言われています。

例えば、1000万円の遺産を取得した場合、100万円以上の弁護士費用がかかる計算になります。

弁護士に一人が依頼すると、基本的に相手方の他の相続人も弁護士を依頼することになります。全ての相続人がそれぞれ弁護士を依頼するとなると、遺産全体の10%以上がそれぞれの弁護士費用として失われることになります。

まずは弁護士に依頼せずに解決できないか模索する方が、経済的な負担を抑え、より多くの遺産を得ることができます。

理由3:相手も弁護士を立て、泥沼化するリスク

あなたが弁護士を立てると、相手方の相続人も「こちらも対抗しなければ」と考え、弁護士を立てる可能性が非常に高くなります。

こうなると、双方に高額な弁護士費用が発生します。相手方も「弁護士費用を払う以上、少しでも多く遺産をもらわないと割に合わない」という心理になりやすく、遺産分割における妥協点を見つけるのが極めて困難になります。

本来であれば話し合いで解決できたはずの問題が、弁護士の介入によって、より複雑で解決の難しい紛争へと発展してしまうのです。

理由4:「争う姿勢」とみなされ、関係性が破壊される

相続人同士の関係性が多少悪化していたとしても、いきなり弁護士を代理人に立てて連絡をすることは、相手方に「あなたはこちらと徹底的に争うつもりなのだな」という明確な敵対メッセージとして受け取られます。

一度このような状況になると、感情的なしこりが残り、相続人同士の関係性が元通りになることはほぼ不可能でしょう。相続は財産の問題であると同時に、家族・親族間のデリケートな問題でもあります。いきなり代理人を立てるという行為は、その関係性を決定的に破壊してしまうリスクをはらんでいます。

理由5:弁護士をたてても、結局「法定相続分」での解決が多い

弁護士を立てるということは、話し合いでの解決ではなく、法的な手続き(調停や審判、訴訟)で決着をつけるという方向に向かうことを意味します。

しかし、裁判所が関与する法的な手続きになった場合、最終的な判断は、多くの場合「法定相続分」に基づいて行われます。

つまり、「法定相続分よりも少しでも多く遺産を受け取りたい」と考えて弁護士に依頼したとしても、紛争化して裁判所の判断を仰ぐことになれば、結局は法定相続分での決着となり、希望が叶えられない可能性が高いのです。さらに、高額な弁護士費用と、解決までの長い時間、そして精神的な負担が残ることになります。

まとめ:弁護士は「最後の手段」と考えるべき

相続において、いきなり弁護士に依頼することは、

  1. 弁護士なしで解決できるケースが多い
  2. 高額な費用がかかる
  3. 相手も弁護士を立て、泥沼化しやすい
  4. 争う姿勢とみなされ、関係性が破壊される
  5. 紛争化しても、結局は法定相続分での解決が多い

といった理由から、避けるべき「悪手」と言えます。

もちろん、相手方が不当な要求をしている、話し合いに全く応じない、遺産を隠している可能性があるなど、どうしても当事者同士での解決が不可能な場合には、弁護士への依頼が必要となるケースもあります。

しかし、それはあくまで「最終手段」として考えるべきです。

まずは、相続人同士で冷静に話し合う努力をすることが最も重要です。もし話し合いが難しいと感じる場合は、いきなり弁護士に依頼するのではなく、

  • 相続に詳しい中立的な専門家に相談する
  • 家庭裁判所の遺産分割調停を利用する(弁護士を立てずに申し立てることも可能)

といった方法も検討してみましょう。

焦って弁護士に依頼する前に、まずはこの記事で解説したポイントを参考に、より円満で、かつ負担の少ない相続の進め方を考えてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次